売上倍増を目指す!PDCAサイクルによるECサイトの運営術
EC事業のコンサルティングをしていると、「担当者の方が淡々と日々の注文処理をこなしているだけ」という状態に陥っているケースが少なくありません。
その理由の一つは、経営者や上司の方が「EC事業が将来の命運を分ける」と強く意気込んでいても、なかなか”その想いが伝わっていない”ことでしょう。ただし、そういった精神論だけではなく「何をやればいいかわからないから、とにかく目の前の業務を追われる日々になっている」という要因が大きいように思います。
会社として適切に課題を設定し、その取り組みや進め方を仕組み化していくことで、日々の業務を変え、成果につながります。すると担当者の意識も変わっていき、実際に取り組む業務にも変化が現れます。
本記事で紹介する「売上を伸ばすためのEC運営者のPDCAサイクル」が、日々の具体的な業務を変革する一助となれば幸いです。
【この記事はこんな方におすすめ】
- EC事業の担当者の方
- EC事業の売上を伸ばしたい経営者の方
- これからEC事業を立ち上げる方
PDCAサイクルの概要
まずはPDCAサイクルの概要からご紹介します。「売上を伸ばす」という観点では下記のようなサイクルを意識してみましょう。
集客戦略→売上向上施策未→顧客ケア→改善アクション→(集客戦略に戻る)
まずはお店に来てもらわないことには売上が立ちませんので、集客施策(アクセス増加施策)を実施します。
そして集客ができているだけで商品が買いにくい状態ではザルで水をすくうような施策になってしまうので、売上向上施策(コンバージョン最適化施策)を行います。
一度購入頂いたお客様への再接客コストの安さや施策の幅広さこそが自社ECの強みです。そこでLTV (Life Time Value)を高めるため、顧客ケア(アフターフォロー)を実施していきましょう。
この3つの中で、どこに問題があるのかを分析し、改善アクション(フィードバック)につなげることで数値を改善していくことができます。
集客戦略
まずは「お店を見つけていただく=アクセス数を増やす」施策について解説します。
そもそも「アクセス数はどれくらいあれば良いのか」「どうやって目標設定をしていけば良いのか」についてですが、これは店舗の売上目標を決め、逆算することが必要になると思います。
また各数値の一般的な指標も知っておくと、より高い精度で設計することができます。
売上目標を達成するためのKPIも、運営していく中で実態併せて修正していく必要はありますが、まずはざっくり定めてみると良いでしょう。
例えば月商100万円を目標としたときに、現状店舗のCVR(コンバージョンレート)が1%で客単価が5,000円だとします。
その場合、売上目標の100万円に到達するには、200件の注文を獲得する必要があり、そのためには2万件のアクセスが必要となります。となるとまずはこの「2万件のアクセス」を目指して施策を行っていきましょう。
もちろんCVRや客単価も施策に影響を受けて変化していく可能性がありますので、都度各指標を修正していく必要はありますが、まずは目標数値と直近の実績にどれくらいの乖離があるかを把握していきましょう。
目標と実績の乖離を把握することで、どの数値をどれくらい改善する必要があるのかを把握できます。
例えば現状のアクセス数が月に2千件、CVRが1%、客単価が5,000円で月の売上が10万円だとしたら、月商100万円を達成するためには「アクセス数を伸ばす」以外に現実的な解決策がないことがわかります。CVRや客単価を突然10倍に上げることは不可能だからです。
逆にアクセス数は4万件ほどあるがCVRが0.3%しかなく、客単価5,000円で月の売上が60万円ある場合、CVRを改善することで目標数値を達成することができるかもしれません。商材などにもよりますが客単価5,000円の商品のCVRを0.5%前後まで上げることは、現実的な目標だからです。
では、「ここからはアクセス数値を伸ばすために取り得る施策」を、流入経路別に解説していきます。これらは「競合がどのような施策を打ち出しているか」「競合との距離の図り方」を調査するうえでも重要な視点となります。
自然流入
自然流入とは検索エンジンでの検索結果からのアクセス数のことを指します。まず、あなたの商品を購入するユーザーが検索しそうなキーワードをリストアップしてみましょう。
また、どんなキーワードで検索すると競合のサイトが検索結果に表示されやすいか考えてみましょう。
Google Serch Consoleから
- 現状自社のサイトにはどんなキーワードでの検索結果からアクセスしてる人が多いか
- 上位表示されているか
- キーワードごとのCTRは何%くらいか
- 狙うべきキーワードでは何位に表示されているか
などを確認してみましょう。
GRCと呼ばれる無料ツールを活用して自社の検索順位を定点観測する習慣をつけることも非常にお勧めです。
また、ChatGPTなどのAIに「○○を販売するオンラインサイトが上位表示を獲得するべきキーワードを30個リストアップしてください」などと聞いてみるのも、意外と見落としているキーワードが発見できたりしてお勧めです。
獲得したいキーワードが定まったら、それらのキーワードを意識的に盛り込んだメタタイトル・メタディスクリプション、商品説明文やブログを書いてみることをおすすめします。
単にキーワードを羅列するのではなく、そのキーワードで検索するユーザーの検索意図を考え、その検索ニーズを満たす説明文やブログを投稿することが重要です。また、そのキーワードについて自社独自の強みなどを記載できる場合は、積極的に記載しましょう。
広告流入
重要なキーワードでの検索順位が取れていない段階ではリスティング広告が有効な手段となる場合もあります。
また、仮に上位を取れている場合でも「画面占有率を上げる」という観点で実施する価値があるかもしれません。
キーワードごとのCTRを確認しながらリスティング広告の配信を検討していきましょう。
また、需要が高まっているユーザーはキーワードで検索での獲得が見込めますが、潜在需要にとどまっているユーザーには積極的に接触機会を設けていく必要があります。
そこで検討するべき施策として、ディスプレイ広告やSNS広告が挙げられます。
事業フェーズなどに併せて導入を検討していきましょう。
SNS流入
商材によっては特定のSNSとの相性が良いものもあります。
例えばアパレルブランドで新作をInstagramで紹介したり、洗車ブランドで洗車のビフォーアフター動画をTiktokで紹介するなどの例が挙げられます。
自社の商材に併せて相性の良いSNSを選定し、必要であれば運用していきましょう。
Twitterの運用施策については過去の記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。
外部リンク
また特定の商材や業界を紹介しているまとめサイトやコミュニティサイト、メディアがある場合、そういったサイトなどからリンクをもらうことも非常に重要な施策です。
これはそのサイトからの流入が見込めることに加え、優良なサイトからの被リンクの獲得は自社のサイトが上位表示されやすくなる要因の一つでもあるため、2つの側面から効果が見込めます。
売上向上施策
せっかく潜在顧客のアクセスを獲得できても、売上に繋がらなければ、そこまでにかけた労力やコストは無駄になってしまいます。
「CVRが高すぎる=既存顧客以外のアクセスが少ない可能性がある」という考え方もできるため、CVRというのはただ単に高ければ高いほど良いとも言えませんが、適切な数値を目指していくべきでしょう。
商材や単価などによって異なるため、「何%が理想である」と一概に定義することはできませんが、例えば”客単価5,000円前後のアパレルストアでCVR1%前後”といった数値を目安にしてみると良いかもしれません。
UI/UXの改善
根本的な問題として、
- 商品が探しやすい導線になっているか
- 商品をカートに追加しやすいか
- フォームに無駄な項目はないか
などユーザーにとってのストアの使いやすさは常に意識的にチェックしていきましょう。
また、「サイトに使用している画像が重すぎる」などの要因からサイトの表示速度が遅くなってしまっている場合、ユーザーの離脱の原因にもなり、検索順位も上位表示されにくくなります。
Gooogleの公式ツール、PageSpeed Insightなどを活用して、自社サイトの表示速度に問題がないか確認してみましょう。
【Page Speed Insight】https://pagespeed.web.dev/
商品価格やバリエーション設定などの見直し
ちょっとした商品設計が原因でコンバージョン率が最適化できていない可能性もあります。
例として「一人暮らしの男性ユーザーをターゲットにした調味料なのに、ミニマムが4人家族で数ヶ月かけて使い切るくらいの数量設定になっている」などが挙げられます。
こういった場合、ターゲットユーザーに併せて少ない量の商品を販売することでCVRが改善する余地があります。
逆に、「それ一つ買うだけでは成立しない商品なのに併せて買うべき商品が見つけられない」などの理由で離脱しているケースもあります。また色違いや型違いなど、ちょっとしたバリエーション違いなどの商品を探しやすい状態になっているか、違いをわかりやすく説明できているか、などの要素によってもCVRの改善が見込めるかもしれません。
情報や利便性の整理
商品情報ページに十分かつ分かりやすく情報が記載できているか、配送情報や返品・交換ポリシーを明確にしているか、決済方法は十分な選択肢があるかなど「情報と利便性」を整理することでもコンバージョン率を高めていくことができます。
アフターフォロー
自社サイトを運営する大きなメリットとして「LTVの最大化」「顧客との関係構築」が挙げられます。一度購入頂いた顧客とある意味自由にコミュニケーションが取れることで、成果を最大化することができます。
LTVの最大化
例えばShopifyであればマーケティングオートメーション(Shopify Flow)の機能を活用し、
- 商品Aを購入したユーザーには○日後にXのメールを送信する
- 商品Bを購入したユーザーには✕日後にYのメールを送信する
といった施策が自動化できます。
例えば買い替えの時期にリマインドのメールを送付したり、特定のジャンル・カテゴリの商品の購入履歴があるユーザーに関連商品や新作商品の紹介をすることができます。
顧客との関係構築
また、ユーザーとのコミュニケーションを積極的に測ることで商品やサービスの改善へとつなげることができるかもしれません。
ユーザーへのアンケートを実施したり、レビューを頂いたり、お問い合わせを頂いた際に質問をする/問い合わせ内容を反映する、などして商品やサービスの改善につなげていきましょう。
また自社ECだからこそできる自社サイトの各数値やページごとのユーザー行動分析を通じて、商品・サービスの改善を継続することもできます。
フィードバック
各施策の分析と修正
ここまでに解説してきた施策はそれぞれ以下の数値に大きく影響します。
- 集客戦略=アクセス数
- 売上向上施策=コンバージョン率
- アフターフォロー=リピート率
それぞれの数値がいくつになっているか、実施している施策には改善余地があるか、などを検討し、改善余地の大きなもの(改善したときに目標に大きく近づけるもの)を優先的に実施していきましょう。
ECサイト運営には、ある日突然売上が増えるような裏技は無いかもしれませんが、日々の業務で成長速度を早めることはできます。適切な施策を行わず、ただなんとなく運営しているだけでは間違いなく成長しないものです。
成長速度が早ければ早いほど良い、というものでもないかもしれませんが、健康的に企業の成長へとつながるよう、日々業務を改善してきましょう。
Marketdiveへのお問い合わせ
MarketdiveではWeb集客に関するコンサルティングサービスも提供しております。お気軽にお問い合わせください。
初回相談は無料で承っております。(最大30分まで)WEBミーティング予約ボタンより、お好きな時間にご予約いただけます
EC事業を伸ばしたいとお考えの方、課題感をお持ちの方、これからECを立ち上げられる方、どうぞお気軽にお問い合わせください。
おまけ:ChatGPTに集客施策を相談してみた
ChatGPTに売上向上施策を相談してみるのも良いかもしれません。
すべてを鵜呑みにするのではなく、何回かのラリーを繰り返して、良いアイデアをもらうイメージで気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
質問文:
EC運用においてアクセス数を増加するため、SEO対策を実施しているのですがなかなか成果に繋がりません。どのような施策を実施することで改善が見込めるでしょうか?不足する点があれば質問してください。
ChatGPTによる回答:
SEO対策は、一般的に時間がかかるプロセスであり、効果を確認するまでに数ヵ月から1年程度を要することが多いです。そのため、短期間で成果が見えない場合でも、必要な手順を踏んでいる場合は焦らずに待つことも重要です。
しかしながら、現在の状況を改善するための具体的な提案をするために、以下の質問にお答えいただけますか?
ChatGPTとの質疑応答
- 現在行っている具体的なSEO対策は何ですか?
- ウェブサイトのコンテンツは何ですか? 対象となるユーザー層は何ですか?
- サイト内のコンテンツは定期的に更新されていますか?
- キーワードリサーチを行っていますか? また、適切なキーワードを使用していますか?
- どのようなツールを使ってウェブサイトのパフォーマンスをトラッキングしていますか?
- ウェブサイトのテクニカルSEO(ローディングスピード、モバイルフレンドリー、XMLサイトマップ、robots.txtなど)は適切に設定されていますか?